お客様のお話 ①

本 日常

将来の夢を持っていらっしゃる方でした

先日、眼鏡をご注文いただきましたお客様は大学に通っていらっしゃる学生さんでした。

お名前を「T様」とおっしゃいます。

視力を測定し、眼鏡の選択も目途が付きました頃に世間話になり、ついお伺いしてしまいました。

「もし失礼でなかったら、将来やってみたいお仕事のイメージなどはあるのですか?」

私の場合

私は大学に進学しておりませんので、当然18歳から働き始めた人生でした。

18歳で就職先を探しておりました時(高校在学中)、この仕事をしてみたい、またはこの仕事が夢だった、とは正直イメージしておりませんでした。

お給料やお休みの数、また福利厚生が整っているのかを気にしながら就職させて頂く企業様を探しており、自分の「夢」のような部分には蓋をしていたような気がします。

いや蓋をしていたと申し上げるより、そもそも考えておりませんでした。

本当に自分が熱意をもって打ち込める仕事って何だろう、できればそんな仕事をしてみたい、そう考えるようになったのは社会人になってずいぶん時間が経過した後でした。

社会で活躍されていらっしゃる様々な職業の方で、多くの方はその仕事に就いて仕事の面白さや奥深い魅力に触れることで、いつの間にか情熱が沸き、時間を忘れるほどお仕事に打ち込まれていらっしゃる方は多いと思います。

オリンピックで活躍される選手の皆さんのお話の中にも「まだ就学前から親にラケットを持たされました。練習も好きではありませんでしたが、次第に様々な試合で優勝するようになって、もっと強くなりたいと思うようになりました」そんな話をTVで拝見したことがあります。

最初から自分はこれが好きで、このことを職業にして実力を延ばしていきたい!、そんな方はなかなかいらっしゃらないのではないでしょうか。

そんな中・・・

先日の学生のお客様は「小説家」になりたいと、そのための勉強をコツコツ頑張っていますと、そのように仰いました。

私は即座に「素晴らしいですね」と申し上げました。

そうなんです。

まだ学生さんなのに、今取り組んでおられる勉強の先の「明確な目標」を持っておられることに私は感動し、すっかり応援したい気持ちになってしまいました。

もちろん文筆業の中でも小説家という職業は狭き門であることは承知していますし、それなりの努力をしたとしても誰もがなれる職業ではないことも理解しています。

しかし、それでもなりたい人にしか到達できない着地点があると思うのです。

その中の一つが「小説家」であると、私は想像しています。

「T様」は、友人に話すと笑われるか、興味ないという反応しか返ってきません、と仰いました。

そうかもしれません。

しかし「買わない宝くじは当たる訳がない」と申します。

私は笑ったりしませんし、応援しますよと申し上げました。

どんなチャレンジも素晴らしい価値を秘めていることを信じているからです。

宮部みゆきさんだって東野圭吾さんだって、昔は友達に話しても本気にしてもらえなかったかもしれないのです。

たった一度の人生なんですから人に迷惑を掛けない範囲で、やりたいことを思いっきり頑張ったほうが楽しい人生になると私は信じています。

「T様」は、なんだか元気をもらいましたと仰ってくださいました。

そして私は、もし本が発刊されたらまず私が最初に買いますね、と申し上げました。

「T様」は、「ではその時はサインをしますね」と笑顔で答えてくださいました。

私は「T様」の成功を、心より祈っております。

話は変わって・・・

もう少し以前の学生さんのお客さまで「航空機のパイロット」を目標にされていらっしゃる方がご来店されました。

よく小さい頃は「プロ野球選手」や「飛行機のパイロット」という夢が一般的でしたが、そのお客様は本当にその夢の為に一歩づつ努力されていらっしゃる方でした。

必要なお勉強を大学である程度終了させ、アメリカに「実技の勉強」の経験の為に、留学されるとのことでした。

早ければ数年先に日本の国内線で業務にあたられるとのお話を伺い、お知らせ頂ければ必ずその飛行機に乗りますとお約束させていただきました。

その後、世界的なコロナ感染症が発生し、航空機業界の環境も変わってしまいましたが、私は約束を是非守って、あの素晴らしい夢を語ってくれた学生さんと一緒に空を飛びたいと思っています。

ある日・・・

子供(娘)に、将来めがね屋さんになってみたとは思わないかを聞いたことがあります。

「眼鏡屋さん?・・・」

「どうかな、お客様のお話も聞けて、とてもやりがいのある・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「ないかな」

だそうです。いまのところ。

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