太陽は眩しいです

太陽光 メガネ

今回は少し長文です、すいません。

昨今、サングラスで目を守るお客様が、季節に関わらず沢山いらっしゃいます。
そのなかで実は多くのお客様が・・・

「薄い色のサングラスが欲しいです」

と仰います。
実は当店はサングラスの取り揃えが豊富ではございません。サングラスに関しましてはファッション性が大切な商品ですし、洋服ほどではありませんが流行も気にしなくてはいけません。
しかし当店はおしゃれな眼鏡の品揃えというよりも、視力矯正に力を入れた商品構成の為、流行の最先端のサングラスなどは殆どございません。

誠に申し訳ございません。

ですので当店では通常の眼鏡フレームにカラーレンズ(度付き)をセットして、より快適で、眼を保護することを目的とした、度付きサングラスをご提供させていただくようにご案内させていただいております。

お客様が度付きのサングラスをご希望されます際は・・・

多くの方が「色の薄いレンズ」を希望されます。

そこで、どうして色が薄いレンズをご希望なのですか?と、ご希望になられた理由をお伺いしますと

「だって色が濃いサングラスは瞳孔が広がってしまうので、有害な光が眼に入ってきて良くないから・・・」

という理由と・・・

「色が濃いサングラスは人相が悪くなっちゃうから・・・」

の、2通りの理由に分かれます。

私は②番目の「人相」で薄い色を選ばれるお客様は、眼鏡をご使用になるスタイルと言いますか、好みの問題ですので、それでは薄いカラーのレンズを採用して度付きのサングラスを製作させていただきますね、とお伝えしています。
しかし①番目の「瞳孔の散大による有害な光が心配」とのお申し出に関しましては、あまり気になさらない方が良い眼鏡が作れますよと、申し上げています。

その理由は・・・

人間が眩しさを感じる光の性質に関係してきます。

太陽の光を、プリズムと言う三角形のガラスを通して光の波長ごとに分解すると、俗に7色と言われている虹のカラーが出てきます。
昔、皆さん学校でやりましたよね。私も相当昔ですが、学校でやった記憶がございます。

その時は机の上の白い紙の上に「虹の7色」が再現されて、大変驚きました。

そして色には決まった順番があったのです。

「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」「せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し」

という順番です。

必ずこの順番ですし、実は人間が眩しいと感じる光は、この「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」の中にすべて入っています
この7色の光の波長の幅のことを・・・

可視光線といいます。

可視光線とは文字通り、「人間が見ることが出来る光線」のことです。
逆に申しますと、可視光線以外の光は、人間が見ることは出来ない光なのです。

ですので直接目に紫外線や赤外線を照射されたとしても、眩しくありません。
以上のことから、太陽の光とは、人間が感じる光と感じない光とがあって、それらをひっくるめて幅広く降り注いでいるわけです。


太陽の光の中の可視光線の「赤」の外側には「赤」より波長の長い光が存在します。この光を「赤」の外側にある光なので、赤外線と言います。

また、可視光線の「紫」の外側にも「紫」より波長の短い光が存在します。この光を「紫」の外側にある光なので、紫外線と言います。

紫外線は英語で「ウルトラバイオレット」と言います。省略しますと「UV」になるわけです。

通常、「赤」は720nm(ナノメーター)の波長で、「紫」は400nm(ナノメーター)の波長と言われていますが、ウィキペディアでは「可視光線に相当する電磁波の波長は下界はおおよそ360-400 nm、上界はおおよそ760-830 nmである。」と記載されています。

しかしここではあまり難しいお話になってもいけませんので、紫は400、赤は720で良いと思います。

日焼け止めクリームに「UV400」とか書いてありますよね。

あれは、ウルトラバイオレット(紫外線)の400nm以下の波長の光を、軽減する効果がありますよと説明している訳なのです。

話を戻しますと、紫外線や赤外線は人間が見ることのできない光であるということです。
このことから、眼鏡レンズにUVカットを施しても、眩しさは軽減できないことがわかります。
つまり紫外線と赤外線の間の「可視光線」こそが、眩しい光の原因であり、眩しさを軽減するには眼鏡レンズに色を着色するしか方法がないのです。

え~、でも赤外線こたつの中は赤い光があって、家族の靴下がみんな見えるぞ!、とご指摘を頂きそうですが、実はこたつの中の赤い光は、人工的に赤くしているだけで、赤外線は赤くないのです。
私たちがこたつに入ったとき、「あったか~い」と思うように(感じるように)、赤外線電球のまわりに塗料を塗って、意図的に赤い光を演出しています。

また脱線してしまいました。すいません。

つまり紫外線を強力にカットする眼鏡レンズを装着しても、レンズが無色透明であった場合、眩しさはまったく軽減されません。
もちろん、健康面では有害な紫外線は眼に入れない方が良いことは解っていますので、眼鏡レンズに紫外線カットをいれることは常識になっていますが、眩しさを軽減させたい場合には・・・

可視光線を遮らなくてはいけないのです。

そして、可視光線をさえいる為には・・・

レンズに色を入れて透過する光量を下げるしかないのです。

このことから、度付きサングラスを作る際に、色を選ぶことがいかに大切な要点なのかがわかります。

ではどうしてお客様は「色が薄いと眼に悪い」という印象を持っておられるのでしょうか。

それは、おそらくテレビの情報です。
理由はこうです。

色の濃いレンズ = 暗く見える = 瞳孔が開く = 有害な紫外線が入る

という順番です。

しかしどうでしょうか。勿論、私も極端に暗く「下敷き越しに太陽を見る」ような濃い色のレンズでは、間違いなく瞳孔が開きます。しかし、そんなに濃かったら太陽の観測くらいしか用途は無く、日常でそんなに濃いレンズは用途がありませんし、販売もされていません
また仮に販売されていたとしても、危なすぎて運転などに使用することは、飲酒運転以上に危険な行為と言えます。

暗い場所で人間の瞳孔が開く生体反応を「暗順応・あんじゅんのう」といいます。

よく刑事ドラマの殺人現場で、被害者の眼にペンライトをあてて・・・

「まったく残念な事件だぜ・・・」とかなんとか言いますよね。あれです。
あの行為は暗順応の反対の、明順応(めいじゅんのう)という反応を見ているのですが・・・。


被害者の眼にペンライトを当てると、本人の意思にかかわらず、生体反応があれば瞳孔は小さくなります。残念ながら反応が無ければ、そうゆうことになります。
本人の意思に関係なく、眼に入る光の量を自動で調整しているのですね。

余談ですが被害者役の役者さんが、眼にペンライトを当てられたら、相当眩しいだろうなと想像しています。きっと私なら根性が無いので、大声上げてお芝居をダメにしてしまいそうです。

また脱線してしまいました。

本題に戻りますが、ここで申し上げたいのは、あまりに色の薄いレンズでサングラスを作ってしまいますと、後でもっと濃くすればよかったかなと後悔なさるお客様が、一定数いらっしゃるということです。

そんなとき、私は内心、販売時の説明が不足していたせいで、お客様にご迷惑をおかけしたのではないかと、申し訳なく感じたりします。

仮に少し濃い目のサングラスをお作りして、お客様の瞳孔が少し開いたとしても、レンズは基本的にプラスチック素材でしたらUVプロテクションが標準装備されていますので安心です。

それでも眼鏡の脇から有害な光が入ることを、ご心配されるお客様もいらっしゃるかもしれません。
その場合は、女性の方でしたらUVカットの日傘がお勧めです。また男性の方でしたら鍔(つば)のあるUVカット帽子がお勧めです。

もちろん人相の問題で「人当たりが悪くなることを避けたい」お客様は、薄い色の眼鏡をご使用になられることをお勧めしております。

白内障の初期症状

最近、お客様の中で「白内障の初期症状と、眼科さんで言われちゃった」と仰るお客様がご来店される場合がございます。(眼鏡店でお客様のご病気を判断することはありません)


そのような時は、「きっと眩しさを感じていらっしゃるのかなぁ」「お辛いかもしれないなぁ」と想像したりします。

そのお客様がサングラスをお探しであった場合、あまり薄い色の眼鏡レンズですと、眼に入る刺激を軽減する効果が少ない為、少し濃い目の方がお勧めですと申し上げています。


(白内障の初期のお客様は眼球内の光が乱反射してしまい、通常よりも眩しさを感じやすくなっておられる場合がございます)

サングラス選びは簡単なようで、奥が深いです

当店ではできるだけ詳しくご説明するように心がけておりますが、もしこちらの記事をご覧になられたお客様は、お近くの眼鏡店で詳しい説明を受けてから、失敗のないお買い物を楽しまれてください。

それでは今日はこの辺で・・・。

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