補聴器のお話・・・②

補聴器 補聴器

補聴器の使用には訓練(練習)が必要です。

補聴器は補助器具

補聴器とは難聴の方を聴こえるように改善する器具で、難聴そのものを治療するものではありません。

また補聴器を使用すれば、すぐに聞き取りが出来るというわけでもありません。

まずは補聴器という器具に慣れることが大切です。それは補聴器から出てくる音質や生活音に慣れることでもありますし、補聴器を装着しているという違和感にも慣れる必要があるということです。

音の記憶

私たちは幼いころから生活の中で聞こえてくる、いろいろな音や言葉を脳に記憶しています。

音や言葉を聞いた時この脳の貯蔵庫の記憶によって、聴こえてくる音や声を自然に理解しています。

補聴器を使い始めたとき一度にいろいろな音が聞こえてきますが、音は聞こえても言葉の意味が分からなかったり、騒がしさばかりが気になり疲れてしまうことがあります。

これは様々な音を識別する能力が、難聴によって衰えてしまった為に起こる現象です。

補聴器を装着し少し時間をかけて訓練すれば、多くの場合、次第に記憶が戻り理解できるようになります。

聞きたい気持ち

補聴器を使用する訓練の中で一番大切なことは、積極的に聞こうとする「意志」を持つことです。

健康な方も聞こうとしなければ聞き漏らしをしてしまいます。(小学生がTVで「ドラえもん」を集中して観ているとき、お母さんがお風呂に入りなさいって声をかけても本人には聞こえていない時がありますね)

脳は自分の聞きたい音を環境の中から選別して聞く能力があります。

街の騒がしい中や工事現場の傍でも、横にいるお友達との会話が大切だと感じていれば、周りの騒音を除きながら会話が成り立ちます。

しかし同じ場所で機械で録音すると、騒がしさのせいで肝心の会話が聞き取れないものになったりします。

人間の能力が素晴らしいのは、自分の見たい対象をしっかり見て、聴きたい対象をしっかり聞くことが出来ることです。

補聴器を使用すると一度に沢山の種類の音が飛び込んできます。

うるさいと感じる方もたくさんいらっしゃいます。

しかし生活の中で、それらの音は絶え間なく流れているのです。

難聴になってしまったことでそれらの環境の音が聞こえていなかったのが、補聴器によってまた聞こえてくることは、むしろ喜ばしい事なのです。

補聴器に慣れるための「訓練」とは、様々な音が聞こえてくるうようになった状態から、健康な聴力だった時のように、必要な音を判別する能力の練習ともいえます。

孤立しない生活

沢山のご家族がリビングにいらっしゃると仮定して、そこで難聴の方がTVのボリュームを上げすぎてしまいますと、健康な聴力の他のご家族は「音をさげて」と仰います。

音量を健康な方に合わせると、難聴の方はTVの音が聞こえません。

見たい番組も音が聞こえなければつまらないものです。

自然と難聴の方は自分の部屋に入り、小さなTVを好きな音量で見ることが多くなります。

そのようなことが家族の中での孤立を生んでしまう原因になったりします。

補聴器を使用することによって、沢山の人たちとのコミュニケーションがスムーズになり、脳に届く刺激も多くなります。

なにより家族団らんは、人生の大きな喜びですよね。

補聴器に慣れる練習(7つの項目)

① 集中

まずは聞きたい音に意識を集中させてください。

音楽や会話やTVでも構いません。静かな環境の中で、聞きたい音に意識を集中してみましょう。

それが難しい方が柱時計のような「コツコツ」と音がする、単調で分かりやすい音から試してみることも有効です。

最初から騒がしい環境では、騒がしさばかりが気になってしまいますので注意が必要です。

② ゆっくり、はっきり

特に初めての補聴器の練習では、良い話し相手を選ぶことが大切とされています。

早口の人、不明瞭に話す方は「練習段階の方」には難しいとされています。

ご家族の方に相談して、まだ慣れていないので、ゆっくり、はっきり、語尾を濁さないように会話してもらえるようにお願いしましょう。

こうして少しづつ練習すれば、次第にいろいろな音を聞き分けられるようになります。

補聴器を使用して音が聞こえるようになっても、言葉の意味がよく理解できない人が沢山いらっしゃいます。

このような場合、静かな部屋で補聴器を装着して、新聞や好きな本などを声を出してゆっくり読んでみましょう。

自分自身の声の音がどのように聞こえるかを確認することも、大変良い練習方法の一つと言われています。

③ お声がけ

お声がけの後に内容を話してもらうようにしましょう。

補聴器を使い始めてから1~2週間ほどは、周囲の人にまず呼び掛けてもらってから、内容を話してもらいましょう。

例えば・・・

食事が出来ましたよ

と言う場合

お母さん

と、一息入れて、それから

食事ができましたよ

と話しかけてもらいます。

そうすることで注意がひかれ、その後の会話に集中することが出来るようになります。

④ 時間は次第に長く

最初から補聴器を長時間使うと疲れてしまう方が多くいらっしゃいます。

疲れがストレスになってしまっては、折角の聞こえるという「楽しさ」が消えてしまいます。

最初は短めの時間で使用し(一日の中で30分を2回等)、慣れてきたら次第に時間を延ばすようにしましょう。

内耳の神経はとてもデリケートと言われています。

神経過敏や緊張を少なくすることに心がけ、ゆっくり時間をかけて補聴器に慣れることが大切です。

そのために当店では2か月の無料貸し出しを行っています。

時間は沢山ありますので、気持ちにゆとりを持って、練習しましょう。

⑤ ボリュームを上げすぎない

音が大きすぎると音声に歪みが起きてしまい、かえって聞きづらくなります。

会話は「2m」前後離れた人と快適に話せる環境がよいとされ、そのように補聴器の音量を調整しましょう。

また補聴器に慣れないうちは少し音量が物足りないくらいでも良いと思います。

調整は店内で行いますが、2~3日ごとに細かく調整にご来店いただいても結構です。

無料の貸出期間内に沢山調整に来ていただいて、練習しながら快適な音色をご一緒に探しましょう。

⑥ 向かい合う

お話の相手とは、必ず向かい合って会話をしてください。

ゆっくり、はっきり、話してもらい、遠くの小さな声や、低くソフトな声は慣れるまでは不向きです。

話し相手の人には横を向いたり、手や物で口や顔を覆わないようにお願いしましょう。

⑦ 楽しい会話

補聴器を使用することに少し慣れてきたら、4~5人のグループの中に入ってみましょう。

話している人に集中して聞き入り、時々自分からもいろんな方に話しかけてみます。

補聴器がどのように役に立っているかを確認しながら、会話を楽しむことも大切な練習になりますので、補聴器に慣れたころに積極的なコミュニケーションをとりましょう。

以上が補聴器の段階的な練習法です。

お出かけ

病院

日常の会話で困ることは、持病があって通院している時の、お医者様のお話が聞き取りづらいというケースが少なくありません。

毎回お世話になっているお医者様のお話が快適に聞こえるだけでも、補聴器の有効性は大きいといえるのではないでしょうか。

ご購入をお考えになる前に、本当に生活の中で「補聴器」が便利な機器であるのかどうなのか、まずはお試しで使ってみるのが一番安全だと、当店では考えています。

貸出期間は2か月もございますので、ご旅行にご使用いただいても結構です。

まずは使ってみない事には、判断できないのですから当然です。

ご存分にいろいろな場所でお試しいただき、必要かそうでないかのご判断をしてください。

また、補聴器は機種によって雑音抑制の機能が充実したり、音の方向性の判別が聞き取りやすい機能が追加されていたりと様々です。お貸出しの際は機種のご要望をご相談いただきながら、一緒に決めてまいりましょう。

お気軽にご相談くださいますようお待ちしております。

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