プラスチック製メガネの特徴
ラウレア LA-4026 49□20-140 GNH
今回はプラスチック製のメガネについてご紹介をさせていただきます。
眼鏡フレームに使用されているプラスチックは、実は種類が様々です。
現在は弾力性と軽さの両立が可能であり、また製作のコスト面でメリットがあることから、ウルテムという素材の商品が大変増えています。
同じ理由で更に透明感のある素材と言いますか、安価で大量生産に向いているTR-90という素材も増えています。
どちらも海外の製品が多く、ネットの販売でも大量に流通しているようです。(ネットでの販売に向いているというのは、言い換えればフレームの調整が必要ない。または調整できないという特徴があるということです)
弱点としましては、形が成形品(組立て前のプラモデルを想像してみてください)であるため、型を造れば大量に生産することが出来る反面、素材として薬品に弱いようです。
眼鏡店では一般に、アセトン、エタノール、ベンジンなどを使用したりしますが、そのような溶剤と呼ばれる薬品をウルテムやTR-90に付着させてしまうと、破損の原因になってしまいますので注意が必要です。
また上段のカッコでも説明しましたが、昔から使用されていたプラスチック素材の眼鏡のように、熱を加えながら形の微調整をすることが出来ません。
その分、使用しているうちに眼鏡の幅が広がってきたりといった問題も少ないですので、一長一短と言えるでしょう。
しかしお客様のお顔に合わせる際、耳の高さが左右で違う場合などは高さの調整が出来ないので、そのような場合は当店では別の種類の眼鏡をお勧めしています。
また近年では左右の耳の高さ調整などに対応できるよう、丁番部分に細かなアクセントにもなる金属備品を使用し、調整が必要な場合はそこで行うように工夫されている商品もございますが、まだ数は少ないですね。
ファッション性
眼鏡はファッションとしての要素も強いアイテムであるため、色の表現力も大切な眼鏡の魅力と言えます。
ウルテムやTR-90は、まず商品の成型が完了した後、外側に塗装を施しているようなので、どうしても単色や全体が均一な深みのない塗装の傾向があり、色のグラデーションを楽しんだり、混ざり合った色の表現は苦手のようです。
また素材が非常に弾力性があるため、何年も使用していると素材の柔らかさに外装塗装が追従できず、一部に塗装色の剥がれが発生してしまうことも珍しくありません。
それでは昔からあるプラスチック素材はどうでしょうか。
代表的な商品はアセテート素材とセルロイド素材でしょう。
セルロイドは懐かしい響きのある素材です。
1800年代に発明され、最初は象牙の代替品としてビリヤードの球が開発されたそうですが、コルセットや義手義足などにも利用されるようになりました。
その後、20世紀の半ばまで、食器の取っ手や万年筆やメガネのフレーム、洋服の襟(カラー)や玩具、映画フィルム、レコードなどに広く利用されましたが、1955年、セルロイド製品の火災事故が多発していた事を受け、アメリカで可燃物質規制法が成立しました。
これにより日本製のセルロイド玩具などは全てアメリカへ輸出できなくなりました。
またアメリカから広まったセルロイド製品の市場からの排除運動は世界へ広まり、世界的にセルロイドの製造や消費が落ち込むことになったようです。
現在の眼鏡フレームに使用されている素材は、多くが安全性が高く、可燃性も低いアセテート素材です。
アセテート素材
発色も美しく加工も容易ですが、熱による変形が比較的低い温度で発生してしまうことが残念な点です。よく夏に車の中に30分置いておいたら変形してしまったので直してほしいというお客様がいらっしゃいますが、殆どがアセテート素材です。
中には数年の使用により体温で少しずつ広がってしまうお客さまもいらっしゃいますが、修正は大変です。
長年の使用によりプラスチックが摩耗していたり、変形の癖が固定化されていたりすると、時間をかけて修正しても一ヶ月程で基に戻ってしまうこともあります。
しかし色の透明感、また発色の美しさが最も表現できて、眼鏡を持つ楽しさや高級感を感じさせてくれるのも、このアセテート素材であると思います。
出会い
誤解を恐れずに申し上げれば、すべてにおいて満点の商品は世の中にありません。
美しいけれど耐久性が無かったり、繊細さと強靭さが両立しなかったり。
驚くほど高額で、とても自分の予算で賄えない、などなど。
しかし素敵な眼鏡はいつでも出会える商品ではなく、私の個人的な感想では、一期一会のケースが多いような気がします。
もしお客様が、これは!という眼鏡に出会えましたら、もしかしたらその時にご決断される方(ご購入)が、結果として良い眼鏡ライフになるのかもしれません。
眼鏡店は沢山あり、そのお店ごとに出会える眼鏡も無数に種類がございます。
一期一会に期待しつつ、お散歩がてら、街を散策されてみるのも楽しいひと時です。
気候も良くなってまいりました。もしよろしかったらお気軽にご来店くださいませ。