趣味が続きません、とほほ。

焚き火 日常

皆様はリフレッシュできる趣味はお持ちですか?

もう10年以上になりますでしょうか。キャンプ場で、のんびり焚き火の炎を眺めるのが趣味でした。
でしたと言うのは「もう止めた」と言う意味ではなく、他の事ばかりに時間を使ってしまい、最近は全然行けていないという意味です。

そのころはキャンプブームでもなく、オフシーズンの空いたキャンプ場の隅っこで、激しいスポーツに激しい汗を流すような趣味を諦めたおじさんは、焚き火の時間をのんびり猫背で楽しんでいました。

気取って高めの牛肉を焼いてみたり、お酒が飲めない体質なのでノンアルコールで雰囲気を出してみたり、とにかく一人でラジオを聴きながら楽しむというスタイルです。

しかしキャンプ場でご飯を炊くことが次第に面倒になり、セブンイレブンのおにぎりでも十分満足できるようになると、サッポロ一番の美味しさを優しい心で愛でたりできるようになりました。

遂にはコーヒーもレギュラーからインスタントになり、最後は缶コーヒーになってしまいました。

何と申しましょうか。

私は眼鏡店の仕事より楽しいことがなかなか見つからない人生になってしまいました。

それはそれでよい事なのですが、少し寂しい気持ちも致します。

そういえばもう10年ほど前、私が一人でデイキャンプ(日帰りなので夜までいません)を楽しんでいた時の事です。

見知らぬ外国の若い方が、男女2人でやってきて、私の隣に車を止めました。(私も車です)

私は英語がアルコールと同じで全くいけません。体がアルファベットを受け入れないのです。

なので知らぬふりして焚き火を楽しんでいたのですが、その外国から来たお二人は「は~い?」と仰りながら私の方にやってきました。

私はやっとのことで「ハロ~」とだけ返すのが精いっぱいでしたが、内心、どうして来日される外国の方は「日本語」を全くお話にならないのだろうと不満に思っていました。

なんとが理解できたのは、女性はフランスの方で男性はベルギーの方のようでした。

あれ?一緒に日本に来たんじゃないの?と、思いましたが、私はそのように理解したのですから仕方ありません。

私もなにかしゃべろうと思ったのですが「私は日本から来ました」というのもあれですので、あやふやな作り笑いで乗り切ることにしました。

今にして思えばスマホだったら翻訳機能があったのにと悔しく思います。(ガラケーでした)

私は持っていた「生協のカステラ」をその方たちに振る舞いましたが、お二人は底に着いた紙まで食べそうでしたので、あわてて私も食べながら説明しました。

「あなたのお仕事は?」的な質問があったので、眼鏡店で働いていること、「休みの日は何してるの?」的な質問には、見ての通りデイキャンプに来ていることを説明しました。

「このあたりには何の動物が住んでいるの?」的な質問がきましたが、ネイチャーガイドではないのでわからない。タヌキやイタチはいるだろうけど、英語で何というか知らない。

一瞬、「ドゥーユーノー、ラスカル?」と言いそうになりましたが、ラスカルはアライグマなので狸ではありません。

もうどうにでもなれとの思いから「・・・フォクス」と嘘をつきました。

お二人は顔を見合わせて「本当?」的な表情になりました。

楽しいご歓談の時は過ぎ、20分ほどが経過しました。

お二人はもう次の予定があるそうで、さよならしなければなりません的なことを私に伝えると、最後に質問されました。

「ナイストゥーミーチューは日本語で何というのですか?」

私はもうわかんないよ、もう助けて、と思いながらも、空っぽの頭を絞り出し・・・

「初めまして」かな、と伝えました。

「ハロー」の後につなげる言葉だと思ったので、それでいいんじゃないか、思い浮かばない、ごめんなさい、許して、と思いながら、言いました。

お二人は車に乗り込み、山道をぶんぶん上ったところで車を止めました。

私は手を振って、お二人の旅の安全を祈りました。するとお二人は車の窓から上半身を乗り出して大きく手を振りながら・・・

「初めまして~。初めまして~。」と、大きな声で仰いました。

その声は少しやまびこのような余韻を残しながら、私に届きました。

私は・・・

「違うんです!使い方が違うんです!」

と自分の語学力の貧困さを激しく後悔しながら、かといって大声で修正できるはずもなく、お二人は去って行かれました。

私はその時、あやふやな愛想笑いを浮かべることしかできませんでした。

外国から来たお二人、ごめんなさい。

次に来日される際はご安心ください。

私は数年前から「スマホ」にしました。

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