前回に引き続き「老眼」です。
前回は ≪ 老眼の原因 ≫ などをお話させていただきました。
今回は度数の目安です。
よく銀行や郵便局に既製品の老眼鏡の設置がございますが、そこには、+1.0 +2.0 +3.0 が並んでいます。この +1.0 とは何の数字なのでしょうか。
これは眼の矯正値の強さなどを表現するための単位「ディオプトリー」=「Dと表記します」です。
ですから設置してある既製品の老眼鏡は正確に度数を表記しますと・・・
+1.0D +2.0D +3.0D
となります。
分かりやすくするために、「Aさん」を例にお話を進めましょう。
Aさんは標準的な日本人男性で、遠くを見るときは眼鏡を必要としない方です。視力は1.2です。
(前回の説明を参考にしますと「正視」といわれる眼をされておられます)
前回のブログで、水晶体のオートフォーカス機能は個人差があることをご説明しました。
ですので必ずしも、何らかの老眼鏡が必要になるわけではございません。
ここでは一般的な度数の目安をご説明するために例を挙げて説明させていただいております。
さてAさんは、上の図ではどのレンズを使用されるでしょうか。
あくまで平均値ですが、この場合は +1.0D の老眼の度数で目を助けてあげましたら、Aさんはかなりお仕事が楽になると思われます。
それでは、遠くはAさんと同じように見えるBさん(70歳)では、どの老眼度数が適しているでしょうか。
絵の中ではBさんは老眼鏡の上から、さらに虫眼鏡を使って本を読まれていらっしゃるようです。
きっと老眼鏡の度数がBさんに合っていないのだと思います。
あくまで平均値ですが、この場合は +3.0D の老眼の度数で目を助けてあげましたら、Bさんはかなり読書が楽になると思われます。
それでは、AさんとBさんの違いは何でしょう。そうです。ご年齢ですよね。
年齢が上がりますと度数が比例して上がってしまうのは仕方のない事です。
昨今、日本人は寿命が100歳まで延びるかも知れません、、、などのニュースを見ます。
そうしますと度数は、+4.0D +5.0D +6.0D と、進んでしまうのでしょうか?
答えは、ほぼ皆様、+3.0D で止まりますのでご安心ください、です。
人間は近くを見るときに、水晶体を膨らませることは前回ご説明させていただきました。
その水晶体を膨らませる量は、予め決まっています。
人が軽く腕を曲げて本などを読む場合、約30~40cm、目から離れた位置に対象物があります。
(本、スマホ、新聞などなど・・・)
つまり水晶体が+3.0D膨らんでくれるのなら、年齢が何歳になったとしても近くは良好に見えるのです。
よって問題は年齢と共に膨らんでくれなくなる水晶体の働きを、その分レンズ度数でカバーしてあげることによって、人は老眼鏡を使用するわけです。
上の絵の中で30歳の方は、自分の眼の力が+3.0D(本当はもっと)ありますから、そもそも老眼鏡はいらないわけです。
ところが40歳になると眼の力が+2.0Dまで弱まってまいります。
なので足りなくなった水晶体の膨らみ量、+1.0Dを、老眼鏡のレンズで助けてあげているのです。
そして一番下の70歳を見て頂くと、その上の60歳のレンズ度数と同じであることがわかります。
そもそも水晶体が+3.0D膨らめば近くが見えるのですから、60歳で水晶体の動きがなくなったとしても+3.0D以上の度数は必要ないわけです。
なので100歳になった場合でも、+6.0D や +7.0D になることを心配なさらなくても大丈夫ですよと、ご説明できるわけです。
ならどうせ+3.0Dまで進むんでしょ?
とおっしゃって、最初から+3.0Dの眼鏡を一本買っておけば、生涯使用できて無駄がないじゃん!
とお考えのお客様がいらっしゃるかも知れません。
これはまったくお勧めしません。
まだ自分の眼の力がしっかりしているのに強すぎる老眼鏡を使用するのは、目の健康の為にもまったくダメな行為と言えます。
年齢的に山登りが辛くなった人がいらっしゃったとして、その方は街歩きは問題ないわけです。
そんな方に「車椅子」をお勧めするようなことですので、基本的には自分の身体の能力を最大限に生かしながら、楽しく生活されることが基本になるわけです。
なんにしても眼のことで、疲れ、痛み、違和感、などなど感じられましたら、眼科医院様でお医者様に診て頂くことがすべての基本です。
私が申し上げるのもなんですが・・・
眼鏡店は所詮メガネ店であり、決して医療をご提供できる場ではございません。
(日本中すべての眼鏡店がそうですが、中には眼科医院に併設の店舗もあり、お医者様の診察が同時に受けられる安心の店舗もございます。)
ご自身の「目」または「眼」に関することでご心配なことがありました時は・・・
必ずお医者様にご相談されますことを、当店ではお勧めしております。